北米におけるトマティス・スクール・プログラム
ティモシー博士
トマティス・センタートロント、カナダ
目次
学習上の問題を持つ生徒のいる学校にとっては彼等の教育は大きな課題です。教室の環境、カリキュラム、評価、進級方法、時間割など学校の体制に大きな影響を与えています。しかしながらトマティス・スクール・プログラムは生徒そのものに変革をもたらすためのものです。
この変革は生徒がより積極的に学習課程に参加することを可能にするもので、生徒も提供される教育の恩恵をより有効的に利用することができるようになります。
トマティス・スクール・プログラムは生徒たちにリスニングのスキルとコミュニケーションのスキルを向上させるように開発された聴力改善プログラムです。このプログラムは過去10年以上にわたって北米の企立および私立学校で利用されています。
プログラムではヒヤリングとリスニングをはっきり区別しています。リスニングとは生徒たちが入ってくる音をより効果的に分析できるようにすることを目指した積極的な重点システムです。
この方法が有効に実施されますと学校や自宅での生徒の学習に対するモチベーション、勉強への能動的態度、挙動、理解力が改善されます。その効果については両親や教師が報告している通りです。
このプログラムによってストレスは減少し、コミュニケーションや一般的な学習への生徒の欲求は増大し、全般的な学業の向上をもたらします。情報を処理する能力が改善されますと、その結果は必然的に、特に学習成績を上げたいと思いながら学習問題で方向を失っている生徒に自信を与えます。
1978年以降、プログラムの効果の資料化と評価の研究が積極的に継続して実施されていますが、これらの作業の結果、専門の指導の下でトマティス・メソッドが実施された場合、極めて効果があることが証明されています。生徒のコミュニケーション・スキル、問題解決スキル、リーディング、態度(自信、幸福感)が確実に改善されていることが認められています。これらの事実は付録書Bに記載されています。
第三者による本資料と研究の監修と評価がマックギル大学のハワード・スタット教授によりまとめられ、同教授は"実験例が増え、その結論は効果を裏付けている"と述べています。
プログラムの実施は比較的単純でそのキー・ステップは次のようになっています。
1.学校現場で担当スタッフや両親にプログラムの実施ガイダンスを行います。
次いで、トマティスプロ グラムを必要とする生徒のケースについて説明し、それについてのチェックリストを用意します。
(付録C参照)生徒の選抜にあたっては、教師はトマティス・スクール・プログラムを最も必要とする生徒をピックアップします。
その後の検討、最終の選抜は学校やトロントまたはレギナに所在するトマティス・センター・カウン セラーが指導するリエゾン・チームとの協議で決定します。
2.学校スタッフとして指名された担当者はトロントまたはレギナで2週間の養成と実習訓練を受けます。
この訓練を受けた後、プログラムの実施時期と合わせて学校での1週間の現場実習が実施されます。
3.定期的にトマティス・リエゾン・チームのメンバーが学校を訪問し、アドバイスや支援をします。
4.提供される機器は小型で持ち運びが自由です。
2台の電子機器とテープレコーダーが通常設置されます。
8人までの生徒が同時に1台の機器を使用でき、2個のテーブルに4人の生徒が着席できるようにアレンジします。
5.5才から15才までの生徒たちがトマティス・スクール・プログラムに参加するために学級から離れます。離れる方法には各種の編成モデルがあります。
学校の授業に最も適し、スタッフの時間を最も有効に利用できる方法が選択され、75時間のリスニング時間が用意されます。
最も都合の良い編成の仕方はより詳しく「実施方法」の章に記述されています。
生徒たちは朝または午後のクラスのいずれかに出席できます。
6.両親および教師が観察する変化の記録はプログラムの重要な内容の一部をなすものです。
後方支援の方法の記録と観察された結果の評価は学校理事会メンバーが所有する追加データとなるものです。
7.雑続して実施するパイロット・プロジェクトのためには最低12週間の期間が要求されます。
ところで、プログラムを1年間の学期内に完了するためには9月末から1月までに実施を開始するのが望ましいとされます。
8.最初のパイロット・プログラム(8人から16人)の経常費用はトロントまたはレギナにおけるトレーニング費用、機器の使用費、維持費、修理費および実施するカウンセリング費用を合算したもので、1990?1991年度では6,000ドルとなっています。
9.1年間に学校ごとの48人までの生徒に提供される全プログラムの費用は1990?1991年度では15,000ドルとなっています。
1978年以降、カナダ・チームはリスニングに起因する学習困難を示す生徒たちを助けるA・A・トマティス博士が開発した方法を応用するために同博士と協力してきました。
トマティス博士の方法は部分的にはヒヤリングとリスニングを分離することに基樫を置いています。
ヒヤリングが受動的行鵜と定義される一方でリスニングは能動的行為として掟えられ、音に集中するモチベーションと能力が求められます。
リスニングによって口頭による情報や指示のより効果的な理解と分析が可能になります。
正しく音に集中する能力が欠けることはトマティス博士にとって読み、書き、スペリングの簡域において学術的な研究の主題を提供すると考えられています。
北米の研究者や教育者は聴感システムが学習プロセスで果たす役割の重要性について認識を深めています。
どのようなタイプの生徒がプログラムから最大の恩恵に落するかを決定するための大々的な努力が行われ、その結果が記録されています。
カナダおよび外国における有力な研究者たちがトマティス・メソッドの各種適用の評価に没頭しています。報告は一般的に効果の著しいことを証明しています。
さらにトマティス・スクール・プログラムはカナダにおける下記の公立私立学校で適用されて高い成功を記録しています。これらの学校はオンクリオ州、サドバリーのローマン・カソリック・セパレート・スクール/ケベック州、ラシュートのローレンシアン・スクール/オンクリオ州、リッチモンドのトロント・モンテソリ・スクール/サスカチュワン州、ウィルキーのウィルキー・スクール・ディビジオンno.59です。
トマティス・スクール・プログラムは米国および英国でも実施されています。
上記の学校や独立施設で行われた評価はトマティス・スクール・プログラムの効果をさらに強調する支援データとなっています。
これらのリボートは要求があれば提供いたします。
リスニングはあらゆる段階で生徒に影響を与える基本的なコミモニケーション・スキルとして理解されています。しばしばリスニングに欠陥を持つ生徒は平均的なまたはそれ以上の能力を持つているにも拘らず期待以下の結果しか出ないことがあります。教師および両親が生徒がその潜在能力に相当する能力を発揮していないないという印象を持つことは不思議ではありません。
トマティス・スクール・プログラムはリスニングに欠陥を持つためにコミュニケーション・スキルの正しい発達ができない生徒たちを助け、従って学校での学習成績を向上させるために考案された方法です。
程度の差こそあっても、このようなコミュニケーションの領域で問題を持つ生徒たちは多分にこの方法で恩恵を受けると思われます。
次の章で選抜の方法と実施のための必要なステップを説明します。
一般的にいって、プログラムの適用が適切と考えられる生徒は少なくとも平均的な知能を持ち、幼稚園から小学校1年に進学できるが若干の分野の何れかで成績の上がらない生徒たちです。
教師にとっての参 考例(付録書B)となる資料が関連分野を示しています。
通常、教師は潜在性候補者の選抜に関与します。
リエゾン・チームが提供する職場での教育プログラムの一部として、学校教育者は選抜基準の詳細な説明とプログラムの目的と実施についても指導を受けます。
この指導に基づいて、教師は候補にあげる生徒の参考チェックリストを作成します。
作成された参考チェックリストは生徒が経験している問題に関して貴重な資料を提供します。
チェックリストの幾つかは下記事項に関係するものです。
・注意力/集中することの困難性一気の散り
・授業についていくことの困難性
・声に元気がない
・口頭で伝えられる情報を正しく理解できない
・文章構成カの貧困性
・挙動上の問題
他方で、候補者とすることから除外する条件も存在します。
これら条件の中には社会情緒的、挙動上の問題、若干の神経系上の条件、ある種の聴覚上の障害に起因するトマティス・スクール・プログラムのグループ方式に参加できない生徒の不適応性が含まれます。 生徒が選考基準を満たす場合、トマティス・リエゾン・チームが指定する補足的な簡単な評定が実施されます。両親は完全かつ簡潔な経過報告書を提出するとともに、生徒がトマティス・スクール・プログラムに参加することの承諾書を提出します。生徒のトマティス・スクール・プログラムに参加することの最終的決定は学校の担当スタッフと協議して行われます。
選抜された生徒たちはクラスから離れて適当な広さの部屋に8人までをグループとして参加します。
生徒たちはプログラムを実施するために訓練を受けたスタッフの一員から指導を受けます。
通常、4人の生徒がテーブルの周りに着席します。
彼らはリスニングの間、絵を描いたり、教育ゲームで遊んだり、お互いに話をすることができます。
使用する2台の機器は小型で軽く、使用中はそれぞれ部屋のタイプライター用のテーブルの上に設置し、使用しない間は戸棚または他の安全な場所に保管します。
パイロット・プログラムの実施に当たっては生徒数の多い大型の学校を選択することが勧められます。
その理由は大きな学校であれば後方支援の選択も容易にできるし、実施の面でもより多くの可能性があるからです。
プログラムは10週から12週の期間にわたって75時間のリスニング・トレーニングを実施することになっています。生徒たちは毎日(または週に3回)プログラムに参加し、聴力トレーニングを1.5時間から2時間受けます。
このトレーニング時間は1本30分のテープを使い使用する本数分かかります。
最大の効果を上げるために、またスタッフの利用を効率的にするためこれらの授業は雑続して実施することが勧められます。
生徒たちはプログラムのテープをリラックスして聞くことができるため、午前または午後の何れかに参加することができます。
生徒たちは特に幼稚園または小学校低学年にあっては学校プログラムの補足として行うことができます。次頁にプログラムを実施するに当たって通常のクラスを離れて編成するグループのモデルを示します。
| 編成モデル1(W:1) 午前中に参加する幼年グループ(幼稚園年少組から小学校3年生まで:グループA)と午後に参加する年長グループ(グループB)は1日/1時間半のトレーニングに参加します。
それぞれのグループは最大8人までとします。これらのグループが全体で12週間のトレーニングに参加することになりますが、祝祭日か時に病気による欠席の余裕も含まれます。
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月 |
火 |
水 |
木 |
金 |
| 午前09:00?10:30 |
? |
? |
? |
? |
? |
| 10:30?12:00 |
A |
A |
A |
A |
A |
| 午後01:00?02:30 |
B |
B |
B |
B |
B |
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編成モデル2(W:2) このモデルはモデル1の変形で生徒たちが常に同じクラスの授業時間から反復的に離脱することのないようにグループAとグループBのローテーションを1週間の中で案配するものです。
グループ間の構成および管理時間が必要なことからあるグループが09:00と10:30の授業を受けた後、直ちに他のグループが 10:30から12:00の授業を受けることは望ましくありません、何故なら15-30分の休憩時間が必要であるからです。
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月 |
火 |
水 |
木 |
金 |
| 午前09:00?10:30 |
A |
? |
B |
? |
? |
| 10:30?12:00 |
? |
A |
? |
A |
B |
| 午後01:00?02:30 |
B |
B |
A |
B |
A |
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編成モデル3(W:3)
このプログラムにおいては、生徒たちは4週間の間毎日2時間ずつクラスから離れます。この後、4週間の休止期間が続きまた再開して12週間を満たします。このスケジュールにおいて遅れの取り戻しもできます。
| 1日当たりの生徒の出席時間 |
グループ内の生徒の数 |
授 業 週 間
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 |
午前2
午後2 |
8
8 |
A A A A A A A A
B B B B B B B B |
グループAとグループBはW:2において午前から午後へ移動できます。 |
編成モデル4(W:4)
| l日当たりの生徒の出席時間 |
グループ内の生徒の数 |
月 |
火 |
水 |
木 |
金 |
午前
09:15?11:15 |
8 |
A |
C |
A |
管理またはキャッチアップタイム |
A |
午後
01:15?0315 |
8 |
B |
B |
C |
B |
C |
各グループの構成生徒数は8人までとします。
生徒たちは週に3回、1日2時間、13週間(最初の半学期)出席します。総数で75時間です。
このモデルではトマティス・スクール・プログラムでトレーニングを受けた教師1人が必要で、できれば予備員として他の1名がいることが望ましいとされます。
後半期で、24名までの他の生徒が参加します。
各グループ(A・B・C)の年齢レベルは均質とします、その理由はトマティス・スクール・プログラムの内容は年齢と関連しているからです。
(例:グループA:5才から8才、グループBは9才から12才、グループ Cは13才から14才です。) |
プログラムを実施するにあたって指名された学校のスタッフは養成講座に参加します。
この養成講座はトロントまたはレギナでカナダのカウンセラーの指導の下にリエゾン・チームが実施する約2週間の理論と実習です。
いくつかの学校ではトマティス・スクール・プログラムの責任教師を補助するためにアシスタントを雇用しています。この補助員の養成には3日が必要です。
この2週間の養成講座は学校での現場研修を1週間加えて完了します。
この期間、トマティス・スクール・プログラムがスタートし、リエゾン・チームの指導を受けられます。 プログラムが進行するにつれて、定期的なカウンセリングのための訪問が行われ、プログラムのより良い適用を実施するためのアドバイスとアシスタンスが提供されます。
教師と両親を交えた情報会議がトマティス・スクール・プログラムの開始時およびプログラムの進行の途中で開かれ、プログラムの次の段階について生徒たちの担当チームと覿察したことや情報を交挽します。
公立および私立学校が聴力に起因する学習困難を持つ16名までに利用できる"パイロット・プログラム"に参加することを勧めます。 最初のすべてのトレーニング、カウンセリング、機器、機器修理はトマティスセンターが負担し、パイロット・プログラム費用6,000ドルに含まれます。指定されたスタッフ・メンバー(単数または複数)の給与および彼らのトレーニング中の交通費/宿泊費は学校の負担です。尚、トマティス・グループのカウンセラーが実地援助のために学校を訪問する際の交通費は学校または学校理事会の負担となります。このパイロット・プログラムを通じてトマティス・センタ}は学校がトマティス・スクール・プログラムに関して直接経験をする機会になることを望んでいます。 学校理事会が完全なプログラムの実施を決定した場合、48名までの生徒が1年の学期を通じてスタッフ・メンバーの監督の下でプログラムを受けます。学校の生徒数または施設が不十分で完全なプログラムの実施ができない場合、プログラムの費用を隣接の学校と分担することも可能です。個々の場合の経常全費用は15,000ドル(1990?1991)となっています。
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