| 記事 No.7 |
1995年4月15日(土曜日)日経新聞 |
ABCDEFG・・・
子供の病気治療を機に英会話スクールを始めたのは村瀬邦子さん(54)。二年前に「TOMATIS JAPAN」(東京・六本木)を旗揚げした。
きっかけは、パリに留学中の長女が自閉症寸前になり、駆け付けた村瀬さんが耳鼻科のアルフレツド・トマティス博士の診察を受けさせたこと。「自閉症や言語障害の原因は耳にある」と唱える医者で、その耳の治療によって病状は見る間に回復した。感激のあまり日本への「紹介」を思い立った。博士はこの理論を外国人のフランス語学習にも応用、生徒も集めており、村瀬さんはそれを英語に置き換え日本に持ち帰った。
これが思わぬ人気を呼んだ。
言葉ごとに優先的に使われる周汲数帯は違う。言葉の聴き取りで大事な役割を果たす耳の中の槌骨筋やあぶみ骨は、成長につれ母国語特有の周波数帯に反応しやすくなる。では、特定の外国語に対応出来るよう耳を訓練し直せばヒアリング能力は格段に向上するはず−−これが博士の理論だ。
英語なら英国人女性の声に特種な加工をしたテープを繰り返し聴かせて、英語特有の高周波音域に耳を慣らし、リズムやイントネーションを聴覚神経回路に組み入れる。後は発声訓練を繰り返すだけでいい。こうした手軽さが受けてか、語学習得コースを設置するセンターは東京、大阪で合計七力所にまで広がった。
六本木の本部センターを訪ねたのは土曜日の午前中だったが、一言も言葉を口にしない自閉症の子供の手を握り締めながら相談の順番を待つ親子の横で、数人の大学生とサラリーマンが、ヘッドホンに全神経を集中させ、「耳の改良」に取り組んでいた。企業向けの短期習得プログラムも開発、今年は赴任直前の九人の社員研修も行った。
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